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以前も美冬が思っていたように、槙野の私服は男性らしい色気があって、パーカーにジャージはその野生的な顔立ちにとても映えていて、魅力的だ。
その証拠にセットを作っているスタッフがチラチラと槙野を見ている。
槙野と美冬、それにさらに石丸がそばにいるとどんな集まりなんだろうと注目を集めてしまう。
「他のブランドも見に行ってきた。でも本当にヤングカジュアル、という感じだったな。ファストファッションもあったし。その中でミルヴェイユっていうのもなかなか面白い試みではあるな」
すでにいろんなところを見てきたらしい槙野が美冬にそう報告する。美冬も頷いた。
「ええ。最初はコラボ商品からセレクトして出すのよ。その方が違和感がないから。それからミルヴェイユの商品を出すの。緊張するわ」
槙野は美冬の頭を撫でた。
「大丈夫。お前にはたくさんの味方がいるだろう。心配することはない。きっと成功するから」
美冬は周りを見回す。
服の最終チェックをしている石丸。一緒にチェックしているのは綾奈だ。
舞台やその他の確認は杉村がしてくれている。他にもミルヴェイユのデザイン部や広報、企画開発部の社員も走り回っていた。
そして美冬の側には槙野がいる。
ん?と槙野は美冬に向かって首を傾げていた。
「ねえ、何か困ることってないの?」
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