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美冬も側でそれを見ていたのである。実務に関しては任せて大丈夫。そう思える人物なのだ。
「美冬さん、ベンチャーキャピタルってご存知ですか?」
突然杉村にそう尋ねられる。
美冬は首を傾げた。
「一応、知ってはいます」
ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業やスタートアップ企業など、高い成長が予想される、まだ上場していない会社に出資を行う投資会社だ。
未上場時に投資を行い、投資先の企業が上場や成長した後に株式を売却したり、事業を売却して儲けを得る。
「けどうちはベンチャーでもないし、スタートアップ企業でもないでしょう?」
「まあ、そうなんですけど、ベンチャーキャピタルは新規企業だけに投資しているわけではないようなんですね。園村ホールディングス、ご存じですね?」
「うん」
園村ホールディングスといえば中規模の商社のはずだ。扱うものは幅広く、地元に強い企業として有名である。企業としては総合商社になるのだろうか。
「あそこも以前、ベンチャーキャピタルの資本が入っています。つまり、成長性のある企業であれば、割と幅広く投資するようなところもあるんですね。まあ、園村ホールディングスの場合は他にも事情はあるんでしょうけど」
園村ホールディングスもミルヴェイユほどではないけれど、確か30年ほどの歴史のある会社だ。
そう言われれば、新規企業だけに投資しているわけでもないことが分かる。
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