至楽のそ

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神社はさて荘厳である。その神社には 幾つかの手作法が書いてあり、それに先ずは従った。 手を洗う、口を手の盃にして飲む (=手に溜めた水を飲む)… 準備は整った。さぁ、二拍手二礼…。 須臾、また荘厳な女神が現れた。 角を二つ生やしていて、且つ和風の衣服でいる。 その鬼神?に見惚れていると、姉は神に 問いをかけられた。 「願い事は何であらふ。いまそこここに  至る愛情を成就せしむる願いかと思つたが。」 ぴったりと恋愛成就の願いを言い当てられた姉は、 やたらと畏まって頭を下げてしまった。 神はそれを嫌になり、叶えてしんぜやうと 言い做してすぐさま姉のそれを崩させた。 約二十分の儀礼が終わったのちに神は 姉弟を帰らせた。姉弟は、その時、 今更ながら神の実在に驚ひていた。 姉弟を帰らせたのちの神の御顔は、 中々にどんよりとしていた。
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