至楽のそ

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神社への参りが終了した弟は、家に着いたのち 口吻をくっつけ、ただ何も知らなかった様な 家族に早変わりした。 その夜のこと。短髪のサキは例の許嫁と 宴を味わっていた。別嬪な許嫁が正式に そばを持とうと言うのだから、 嘸幸せになるに違いない。そう思っていたサキの 思いはすっきりと敗れることになる。 ふと、許嫁(名はタメ)がサキに寄りもたれんば、 その鼻に唐突の香り。それは女の匂いだった。 嫉妬屋のタメは憤慨して、サキに匂いの 理由、原因、事の訳を求めた。 対して、短髪の反応は…「姉とは、くなかひ止まり」 たいそうたいそうタメは泣いた。そして怒り、 郎女が結納の宴を血潮で震わせる光景と化した。 具体的には、タメはサキを喰らった。 他の売女には取られまい、やらせもしまい、と。 そうして、偶然か必然、眼臓が残つた。 半分冷静に成りしタメは、タメと短髪のサキへの 両方への戒め、贖罪として小さく作った、応急の サキの墓に二つの眼臓を供えた。
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