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「たっくん、なにたべるの?」
「おにく!からあげたべたいんだ。」
幼い二人がメニュー表を見ながら顔を寄せ、アレがいいコレがいいと話しては、目を合わせて笑いあって。
とても微笑ましい二人。
羨ましい……。
オレと千晶にそんな微笑ましい雰囲気も甘い空気も漂うことなく、千晶は千晶単独でメニュー表をさっと見て、すぐオレへ「どうぞ」とまわしてくる。
……オレだって、好きな人と顔を寄せ合ってメニューをあーだこーだ言いながら決めたかったな……。
それができない関係性に少しブルーな気分になりつつ、メニューを決めた。
子供たちはお子様ランチにドリンクバーのセット、千晶はチキンドリアとサラダのセット、オレはハンバーグのセットと、オレも食べたいしみんなでつつければと思いフライドポテトを注文。
なるべくみんなで話せるような話題を選んで、それぞれに話を振って。
わいわいと和やかな雰囲気で、楽しく食事ができたと思う。
千晶はオレの方を見ないようにしていたけれど、それでも話しかけるとちゃんと応えてくれた。
いつからか塩対応も柔らかくなって、最近ではちょっと笑ったり、オレの言葉に慌てたり。
感情が見えてくるようになってきたんだよな。
……けれども、子供たちに向けるような優しい顔を、向けられたことはない。
あの電話での、不機嫌で嫌そうな棒読みの返事をするところからスタートして、今は普通に感情を見せて話をしてくれるようになったんだ。
もう少しではないかもしれないが、着実にオレと千晶の距離は縮まってきてる……よな?
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