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「走っちゃ危ないよー。ストーップ!」
オレと同じことを考えたようで、千晶が隆とみぃちゃんに声をかけていた。
『はーい』
素直に走るのをやめる隆とみぃちゃん。
「はい、みぃちゃん。」
隆はみぃちゃんに手を差し出し、みぃちゃんはその手をうれしそうにとった。
手を繋いだ二人は、にっこりと微笑み合って、なんとも良い雰囲気。
……隆、なかなか積極的じゃん。
オレも千晶と手、繋ぎたいな……。
なんて思っていたら………
「みぃちゃん、ぼく、みぃちゃんのことすき。おおきくなったら、およめさんになってくれる?」
隆が唐突にぶっ込んできた。
隆の告白を聞いたみぃちゃんは、花が咲いたような満面の笑顔になって……
「みぃもたっくんのこと、すき!やくそくだよ。おおきくなったら、たっくんのおよめさんにしてね!」
「うん!やくそく!」
「やくそくよ!」
……両想いなのは見ててわかっていたけど……
かわいらしいカップルが正式に成立。
幼い二人は繋いでいる手と反対の手の小指を絡め、ゆびきりげんまんなんて約束している。
「……隆に先越されるなんてな……」
完全に先越されてしまった。
勝負していたわけでもないが、感じてしまう敗北感。
それと同時に、その約束が守られる未来を見てみたいとも思う。
……やっぱり千晶と手、繋ぎたい。
千晶に触れたい。
……最悪、払い除けられるのを覚悟し、オレは千晶の手へ自分の手を伸ばした。
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