強引でも連絡先を

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強引でも連絡先を

……待てよ? さっき先生は彼女のことを『お姉さん』って言ったよな? 年の離れた兄弟? それとも、母親だけど若いから先生がお姉さんと呼んでる? 近所の知人? みぃちゃんとの関係は何なんだ? 保育園に迎えに来るくらいだから、身近な存在であることに違いはないのだろうけど…… みぃちゃんの母親だとして…… 恋に落ちた瞬間に失恋かよ……。 オレの恋は始まりもしないのか? ……いや、まだ失恋したわけじゃない。 結婚していたとしても、オレが割り込める隙間があるかもしれない。 褒められることじゃないが、恋愛は自由だ。 ……略奪したっていいだろ? 要は旦那よりオレのほうがいいって思ってもらえればいいんだ。 オレのことを好きになってもらえばいいんだ。 まずは彼女と知り合いにならないとな。 「みぃちゃんのお母さんですか?」 聞きたいことをごくごく自然に。 オレは穏やかに声をかけ、ゆっくりと立ち上がった。 少しでもいい印象を持ってもらいたい。 ……それに、こういう時の長身だろ? さっき見たネットの記事の中に『女性は背の高い男性に惹かれる傾向があります』なんて書いてあった。 この長身が武器になるなら、使わない手はないだろ? オレは彼女にゆっくりと近づいて行くが…… ……あれ? なぜ? なぜかジリジリと少しづつ後ずさっている…。 「……あの、どうしました?」 不思議に思い、問いかけてみる。 さっきまで合っていた目もそらされていて…… 「いえ…、なんでも…、」 強張った声でそう返された。
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