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「……みぃのお願いを聞いて、勝手に待っているだけなので。気にしなくてかまいませんよ。」
千晶はそう口にして、また少しだけ後ずさり。
……オレ、近づきすぎているのか?
いや、千晶からオレまで一メートルくらい。
別に近すぎるわけでもないはず。
……男嫌いとか?
そんなにガツガツ迫ったりしてないし……。
千晶の口調と言い方から、早く話を切り上げたいと思っているのかなと感じていたりもする。
……これも営業で鍛えられた観察眼のたまものか?
このままだと、ただの顔見知りポジで落ち着いてしまう。
ここは少し強引でも連絡先を聞き出さないと……
いきなり教えてくれと言えば不審がられる……。
何か後から連絡しあえるような約束でも取りつけるのがスマートか?
……ならば……
お礼の定番、食事の約束を取りつけるのが妥当…。
オレはニコリと渾身の爽やかな笑みを浮かべ、口を開いた。
「そういうわけにはいきません。一ヶ月も待っていただいていたお礼に……そうですね、今日は遅いですし、後日食事に行きませんか?隆とみぃちゃんも一緒に。」
二人きりだと警戒されるだろうから、子供を同伴させると告げる。
これで断られる確率がぐんと減るだろう。
そんなオレの誘いに千晶は驚いた顔をしているが、やはり目線はそれていてオレの顔は見ていない。
……渾身の笑みが……
虚しくなるが……仕方ない。
そんな時、心強いアシストが!
「ねぇね!みぃ、たっくんとごはんたべたい!」
とてつもなく弾んだ声のツインテールのみぃちゃん。
みぃちゃんグッジョブ!
心の中でサムズアップ。
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