五章 シフォンケーキの味は

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 それから、二時間後、私はシフォンケーキを完成させた。ふんわりと膨らみ、なかなかいい感じだ。 「よしっ、できた!」  見た目も綺麗に仕上がり、満足していると、神名君が台所へ出てきて、 「ケーキできたの? 早く食いたい! 家中、甘くて良い匂いしてるから、もう、腹減っちゃってさぁ」  と、急かした。 「すぐに切るから、ちょっと待ってね」  包丁を取り上げ、切り分ける。神名君が電気ケトルで湯を沸かし、手早くドリップコーヒーを入れてくれる。  ケーキとコーヒーをお盆に載せて座敷へ行くと、ノートパソコンで何か作業をしていた時雨さんが、顔を上げた。 「遥臣さん、仕事は休憩にして、お茶にしよう」  私が置いたお盆の上から、神名君が手早く、ケーキの皿とマグカップをちゃぶ台へと並べていく。あっという間にお茶の用意が調うと、私たちはちゃぶ台を囲み「いただきます」と手を合わせた。
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