疑惑

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「――さて、続いてのニュースです。今年もカルガモ親子の行進が見られました。無事に道路を渡りきり、お引っ越しをすることが出来ました。毎年恒例のこの光景は、いつ見ても人々に癒しを与えてくれますね」 「ねえ、雫。あのカルガモ達って、ホントの親子なのかな?」 「えっ?」 おかしなことを言う母に、眠気もすっかり吹き飛んだ。 「親子じゃなかったら、何だっていうの?」 「うちみたいな家族かもしれないじゃない?」 「私はお母さんのこと、ホントの母親だと思ってるよ」 「ああ、もう、この子ったら。嬉しいこと言ってくれるじゃない!」 母は私をギュッと抱きしめ離さない。朝からイチャつく母に少し苛つきを覚えた。 カルガモ親子の行進はめちゃくちゃかわいい。私としたことが、母のせいでテレビの映像を見逃してしまった。もちろん後悔はある。でもやはり、母は憎めないほどオチャメな一面を示す。
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