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おかしな子
リサは、少し変だった。
いや、初めから変だったのではない。確かそう、あの時から――
当時、小学五年生になった私は、親の仕事の都合で、のどかな田園風景が広がる小矢内村に行くことになった。子どもにとって転校とは、かなりシビアな問題だ。不安と期待を抱えながらも私は新しい学校へと向かっていた。
新学期に合わせて転校を迎えた私は、心機一転覚悟を決めて新しい教室を訪れた。幸い特に問題なくクラスにも馴染むことができ、友達も出来た。それがリサだ。
リサは明るくてよく気が利く子で、周りのみんなからも慕われていた。それが、夏休みを過ぎると、秋の空へと様子が移り変わるように、その面影はどんどんと失っていくように見えた。
いじめられているということはなかったようだが、次第に口数が減り、休む日も増えていった。子どもの目からみても、これは夏休みに何かあったのだろうと容易に推測できた。
しかし、それを確かめる術はなく、未だにその理由はわからないままである。
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