はじまりの村

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はじまりの村

 森の中ををしばらく歩いていると、急に目の前が開けて建ち並ぶ家が見えた。 「何だ、これは・・・・・・」  そこは、山奥にある『秘境』と呼ばれる『村』みたいな場所だった。村の周りには、丸太で作ったと思われる柵がはりめぐらされており、村の入り口には門番と思われる男が1人立っていた。  ここはいったいどこなのだろう・・・・・・門番は、僕と目が合うと、慌てて村の方へと駆けて行った。確かに僕達は怪しいかもしれないが、あんなに慌てて逃げることもないだろうに。 「グラクエ・・・・・・」 「ん? 何か言った?」 「グラクエの世界観、そっくりだ」  見れば、リュウは瞳を輝かせて目の前の光景に魅入っている。 「グラクエって・・・・・・確か小学生の頃、流行ったゲームの?」 「うん。俺・・・・・・小学生の頃は身体が弱くて家でゲームばかりしてたんだ。グラクエはよくやってたから分かるよ」   「ふうん」  僕は子供のころ、ゲームなんて買ってもらえなかったし、よく分からないから、そっけない返事をしてしまう。 「ごめん、興奮して。あんまりにも、そっくりだったから」 「いや、別に・・・・・・」  リュウを見れば、まだ瞳がキラキラしていた。そんなに嬉しかったんだろうか。  僕は、そんなリュウの表情を見て何だか嬉しくなってしまった。母性にでも目覚めてしまった様な気分だ。  銀髪にグレーの瞳なのに、目がクリクリしてて可愛い・・・・・・触れたてみたい。そんな感想を持ってしまった僕は、自分の邪心を祓うべく思いきり首を横にふった。 「どうかしたの?」 「い、いや・・・・・・虫が飛んでたみたいだ」  そんなふうに喋っていると、さっきの逃げ出して行った門番が、一人の老人を伴って村の入り口まで戻ってきていた。老人は仙人の様な格好をしている。  待っている様子に、僕達が近づいて行くと彼らは頭を垂れた。 「これは、これは勇者様方。遠路はるばる『はじまりの村』へようこそおいでくださいました」 「「?!」」 「ゆ、勇者?いや、僕達は・・・・・・」  すると、門番らしき男が一歩前へ出て言った。 「立ち話もなんですから、どうぞお入りください」 「「・・・・・・」」  僕とリュウは顔を見合わせると、お互いに『何とも言えない』という顔をした。 「それでは、お言葉に甘えて・・・・・・」  僕達は村の奥にある、村長の家へと案内されたのだった。 *****  村長の家へ着くと、リビングらしき部屋に案内された。木造の平屋一軒家みたいな見た目ではあったが、中に入ると快適な居住空間だった。  部屋の中央にあるテーブルの椅子に案内されて腰かけると、門番らしき男がお茶を出してくれたが、「仕事があるから」と言って、村の入り口へ帰って行った。
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