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村長の家
「まぁ、ゆっくりしていきなされ。部屋もたくさん余っているし、今夜は泊まっていきなさい」
「は、はぁ・・・・・・」
それよりも、この好待遇らしき扱いに納得がいっていなかった。きっと何か裏があるに違いない。
「あの・・・・・・」
言いかけたところで、リュウが僕の腕を掴んできた。リュウを見ると、彼は首を横に振っていた。
「なあに、まずはゆっくりしなされ。これから村の会議に出席しなければならないから、失礼するのぅ」
それだけ言うと、村長はあっという間に去っていった。
「リュウ、どうしたの?」
僕は立ち上がりかけた腰を椅子に下ろすと、僕の腕を掴んでいたリュウに話し掛けた。
「さっき村長の家へ向かう途中で気がついたんだけど・・・・・・」
そう言うと、リュウは空中をスワイプした。すると空中に何か画面のようなものが出てくる。
「へ?」
驚いた僕は、間抜けな声を出してしまった。
「これ、たぶんステータスだと思う。レベルとかが書いてあるから」
昔、一回だけ友達の家でやったことのあるゲームの内容を思い出して、『そういえば、そんなものがあった様な気もする』と思った。
僕はリュウと同じように、なにもない空中をスワイプした。
すると小さく「ヴォン」という音がして目の前に液晶テレビの画面のようなものが出てきた。
職業:勇者
レベル:32
異世界より召喚されしもの。導かれしもの。
使える魔法:空間移転(ワープ)
「俺が勇者?!マジか」
あまりの出来事に夢でも見ているのかと思い、自分で自分の頬をつねってみたが、もの凄く痛かった・・・・・・頬をさすりながら、リュウに聞いてみる。
「リュウのステータスボードには、何て書いてあるの?」
「いや、俺のは・・・・・・」
職業:勇者の味方
レベル:28
異世界より召喚されしもの。条件つきで勇者のレベルをあげる事ができる。仲間を導きしもの。
使える魔法:治癒魔法、水魔法、火魔法
僕が覗くと、リュウは恥ずかしそうに画面を隠した。
「リュウは、僕の味方か。異世界
で、側にいてくれるのがリュウで、とっても心強いよ」
「そんな・・・・・・」
リュウを見れば、恥ずかしそうに下を俯き顔を真っ赤にしていた。
「「・・・・・・」」
そんなに恥ずかしがられると、こっちまで恥ずかしくなってきてしまう。
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