172人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
「謝るなら僕の方だ。年上なのに、何も分からないなんて」
そう言うと、リュウは首を横に振って言った。
「レイのせいじゃないよ・・・・・・それより、クエストをどうやってクリアするか考えよ。もしかしたら、クエストをクリアしたら帰れるかもしれないし」
「そうだな。少し考えてみよう」
そうは言ったものの、ゲームなんて、ほとんどやったことがないから、ステータスボードなんて全く分からない。どうしたものか。
「リュウ、気づいたんだけど能力の所にプルダウンない?さっきまでは、なかった様な気がするんだけど」
よく見れば、「導かれしもの」の下に小さな『▼』マークが付いている。
「本当だ。なんだろう?」
プルダウンをタップすると、そこにはこう書かれていた。
『【導かれしもの】が【導きしもの】の願いを叶えればレベルがあがる』
「え?」
「どうしたの?」
リュウは、僕のステータスボードを横から覗いていた。
「どういう意味なんだろう?」
「さぁ? そのままの意味だったら、僕がリュウの願いを叶えればいいってことになるけど・・・・・・その意味で合ってるのかな?」
「うーん、どうだろう。俺にも分からないよ。でも、試してみる価値はあるかも」
「リュウ、何かして欲しい事はない?」
「今のところ特にないかな」
「なんでもいいから。美味しいものが食べたいとか?! 何かない?」
「そうだねぇ。あえて言うなら、レイともっと仲良くなりたいかな」
「仲良く? どういう意味?」
「いや、特に深い意味はないし!!変なこと言ってごめん」
「いいって。それよりも、何かして欲しい事はないの?」
「うーん・・・・・・そうだねぇ、あえて言うなら、肩を揉んで欲しいかな」
「えっ、そんなことでいいの?」
「うん。ダメだった? 嫌だったら別にいいよ」
「いや、やらせてくれ。これでクエストクリア?したら、元の世界に帰れるかもしれないんだし」
僕は、リュウにソファーへ深く腰かけてもらうと、肩を揉んだ。
「お客さーん、凝ってますか~?」
僕がふざけて言うと、リュウは笑った。
「ちょっと、レイ。くすぐったいよ~」
しばらく肩を揉んだ後、僕達はもう一度ステータスボードを見てみた。
「ダメだ。変わってないや」
「そっか。何か違ったのかな。肩が凝ってたのは本当なんだけど」
悩むリュウを見て、僕は明るく話し掛けた。
「まあ、悩んでも仕方がないよ。他の手を考えよう」
「ん・・・・・・そだね」
僕達は、部屋に備え付けられていた風呂のシャワーを、それぞれ浴びると一緒のベッドで眠ったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!