明朝

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明朝

 次の日の朝になって、目が覚めると見たことのない部屋にいると思った。ここは・・・・・・ああ、そうだった。僕は、何だかよく分からない世界に来て、よく分からない村長の家にいるんだった。  頭が少しハッキリしてきて、手に何か柔らかいものが触れていることに気がついた。  よく見れば、俺の手はリュウの腹の上辺りにあった。リュウは、寝相が悪かったのか身体をくの字に曲げて、寝間着用に着ていたTシャツの前が、はだけていた。  そこまでは別に良かったのだが、俺の手は何故かリュウの腹の上にあった。寝相が悪かったのか、リュウのTシャツは捲り上げられており、素肌の上に乗っていた。 「え?」  驚いた俺は慌てて手を引っ込めた。引っ込めたのは良かったものの、リュウの腹を引っ掻いてしまう。 「いたっ・・・・・・」  リュウは、起きると何が起きたのかと身体を起こした。辺りをキョロキョロと見回して何もないことが分かると、寝惚け眼でこちらを見ていた。 「レイ、おはよう。どうしたの?」 「ごめんリュウ。寝惚けてリュウのお腹引っ掻いちゃったよ」  よく分かっていないリュウは、首をかしげると自分の腹を見た。ミミズばりになって少し血がでている。 「あー・・・・・・大丈夫。なめときゃそのうち治るよ」 「ふふっ、舐められるの?」  からかうように俺が言うと、リュウは自分の腹を見てから、俺の顔を見た。 「もう・・・・・・いいよ」  リュウの頬をふくらませて怒っていた。シャツをそのまま戻そうとするので、リュウの手首を掴んで引っ張った。血がシャツについてしまう―――そう思ったら、ほとんど無意識のうちにリュウのお腹を撫でていた。 「ふゃっ・・・・・・」  自分の行動に自分で驚いて、そのままの体勢でリュウの顔を見上げると、リュウは顔を真っ赤にして口に手を当てていた。俺の肩口を必死に押している。 「ほとんど血出てないし、ホント、大丈夫だから」  俺がそう言うと、リュウはそのまま掛け布団に包まって、もう一度寝てしまった。 「まだ朝早いし、もう一度寝るから!!」 「うん。起こしてごめんね。おやすみ」  僕はリュウの頭をそっと撫でると、部屋を出てリビングへと向かった。
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