10人が本棚に入れています
本棚に追加
「創!どうしたの!?創!」
両親に名前を叫ばれている。
俺は放心状態でそこにいた。
ぽかんと口を開け、涎を垂らし、視線が定まらない。
ただ、ボーッと空を見つめていた。
母さんが揺さぶっても何も感じない。
親父が俺を呼んでも何も聞こえない。
同じ時刻。
俺は山を走っていた。
走っても走っても、どこへも辿り着かない。
いつまでも、けもの様が追いかけてきて、笑っている。
帰りたい!
帰りたいよお!
涙が流れた。
母さんが揺さぶる俺の目からも涙が溢れた。
でも、俺はそれを知らない。
永遠にこの山から出られないのかも知れない。
けもの様の「お迎え」というのがこれだったと知っていたら、俺はちゃんと22時までにお供えをしたのに。
今更後悔しても遅い。
誰か
助けて…
-おわり-
【けもの様2に続きます】
最初のコメントを投稿しよう!