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友だちの始まり
おぼえているか。
オレたちが初めて出会ったときのことを······。
「学校なんか、つまんねぇ」
オレは小学生のときから学校がなんのためにあるのかもわからず意味がない、そう思っていて5日に2日しか行かないほどの不登校だった。
両親や周りの大人は「裕二、学校にいけ」と連呼してきて「すべてはお前のためだ」なんて言われている。だからオレはそんな奴らに、
「じゃあ学校いくから◯◯して、約束」といつも大人に約束をさせた。
するとどうだ、オレがちゃんと学校に行ったのに大人は、苦笑い、約束を破る、言い訳、すっとぼけ、逆ギレなどあまりにもふざけてる。
結局は口だけの自分に甘く周りにキツイような連中にオレの心の中は大人に対する怒りと呆れで声が完全に耳に入らなかった。
あのままだったら、オレは······。
2日くらいは学校に行っているオレだが、友だちなんて一人もいない。根暗で目つきの悪いときたら誰だって近づきたくないし、周りもグループが出来ていたしなおさら。
「あ〜、ひまだぜ」
昼休み教室の椅子に座りぼ〜っとしていたら、
「よっ、暇そうだな」
「ん、だれ?」
「オレは優、お前は?」
「裕二」
そいつは優というが会ったこともない初めてのやつだった。
「なにかよう?」
「いや、べつに」
「じゃあむこうに」
「なぁ聞いてくれよ〜」
「は? なんだよ」
この日から突然、優はオレが学校に姿を現すたびにゲームの事や友だちの愚痴、学校の不満などを話してくるようになった。
「――なぁ裕二はこのクエストやったことある? オレ面倒くさくてさ〜」
「全部やったよ」
「マジかっ、すげーな、よくできたね」
「毎日コツコツやってれば自然に終わる」
1ヶ月くらいだろうか、オレたちは自然と話し合ういわば友だちになっていて良く同じゲームの話で盛り上がった。
「いいな〜、オレもやろうかな〜」
クエスト全部やることに興味があるのか負けず嫌いなのかわからないが、どうやらやろうとしているようだ。
「無理はやめとけよ、2日、3日で出来ることじゃない」
もともとオレには集中して携帯ゲームをやり続けるのは無理だからコツコツやっていただけなんだが3日後、
「全部クエストやったのか!」
「ああっ、いや〜しんどかったけどな」
オレがコツコツやっていたクエストをたったの3日で全部やったと言い内心驚いた。
それからもゲームの話の中でオレがやってきたことを優は短期間でやってのける······。
友だちとして心が少しづつ開くオレはある日に疑問を聞いた······。
学校の終わりにオレたちがブランコに乗って話していたときに何となく、
「なあ、優はどうしてオレとダチになったんだ? みんな恐がって近ずかないってのによ」
こんなに話してくるやつは一人もいなかった。もちろん皆が無視するわけじゃないが、それでもオレを知ろうとする奴はいなかったから。
「ウバザメ」
「は、なんだ?」
「サメだよサメ、裕二はウバザメみたいなもんに見えたのかも」
優の説明によると一般的に怖がられてるサメ、実はそうではなく8〜10メートルの大きさのウバザメは大きな口だが動物プランクトンしか食べず人間にとって危険は低いサメだという。
「裕二は外見で恐がられてるけど、オレにはそう見えなかったんだ」
「はあ」
「ようするに、お前は見た目は恐いけど中身はやさしいってこと」
初めての家族以外にやさしいなんて言われて、正直戸惑った。どう答えていいのかもわからない。
「ありがとよ、オレは優が友だちで良かったぜ」
なんとか感謝の気持ちは伝えた。これが正解なのかどうかはわからないが、独りぼっちのときよりは学校が楽しくなったから······。
そんなオレたちにも転機が訪れる······。
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