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俺の人生なんてクソみたいなモンだった。
語ろうと思えば永遠と語り尽くせる話に面白さを見出す輩もいたが、くだらない。
そんな世の中の面白い話を寄せ集めたような俺は、最期までクソだろうな。
この世にはこういうヤツに対して残酷な最期が待っているという。そんなの知ったことか。俺は生まれた瞬間からゴミのように扱われて非道しか歩んでいない。今さら最期は幸せに、なんて思う訳がない。
『幸せ』という言葉に虫唾が走る。俺は息も絶え絶えになりながら寒気を帯びた体を投げ出した。
「ほうら、お迎えが来たようだ」
俺は口の端を上げて前からくるヤツを見据えた。ヤツは微笑を浮かべながらやってきた。
「お迎えに参りました」
俺の前に膝をついて深々とお辞儀をする。いよいよか……と思った瞬間、俺は涙があふれた。
「あれ……?」
「人間はみな、最期くらい幸せにと願うのです」
ヤツは微笑を崩さずにそう言った。
「ああ……俺は、幸せになりたかったんだなあ」
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