おときが死んだ

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朝、降り積もってキラキラ輝く雪の中から、村人がおときのなきがらを見つけました。 「おときじゃねえか。こんなにやせてしもうて、むごいことじゃ、可哀相にのう」  その村人の名前は呉作と言いました。 破れた着物を着て、裸足のままの姿で死んでいたおとき。 一度も人の温かさに触れた事のないおときのなきがらを、呉作は抱いて家に連れて帰りました。 生きているときは、お布団で寝たことの無かったおときをやわらかいお布団の上に寝かせると、そっと手を合わせて祈ってくれました。 いつも、おなかを空かせて泣いていたおとき。 その枕辺に、白いご飯が供えられました。呉作の嫁様は、汚れたおときの体をきれいに拭いてくれました。そして、可愛い着物を着せてくれました。 「まあ、なんときれいな女の子なの」 嫁様は、きれいになったおときを見て言いました。 「あの世で、この子はお美代のいい遊び相手になってくれるだろう」  呉作夫婦は、自分の小さな娘を亡くしたばかりだったのです。 おときのなきがらはお美代の隣に埋められました。死んでおときは幸せになれたのかも知れません。生きて呉作夫婦の子供になっていたら、もっと幸せだったかも知れません。  でも今は、安らかに眠るおときに、そっと、手を合わせるだけです。
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