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死にたくなった。
クラスの奴はろくでなしばっかりだ。障がいを持った子をいじめていた。少し強がりな子を馬鹿にしていた。担任をからかって面白がっていた。
人を貶して嗤える人間が、僕は大嫌いだった。
でも一人だけ、僕には親友がいた。
家が近くて、行き帰りはいつも一緒だった。クラスは違うけど、僕は彼といる時が一番落ち着いていられた。
親は別段酷い親でもなかった。
けれど毎日のようにテレビに向かって、あの芸能人はクソだとか、あの政治家なんて死んでしまえとか、口汚く罵っている様は醜かった。
そうやって見ず知らずの人間を罵倒した口で、僕に甘ったるい言葉をかけてくるのが、どうしようもなく気持ち悪かった。
別に死のうと思っていたわけじゃない。
でもダメだったんだ。嫌になったんだ。人の喧騒が。生きていることが。
線路が天国に見えた。
僕に向かって走ってくる電車が、救世主のように見えたのだ。
ひとつだけ、後悔があるとするならば。
こんな最悪な世界の中に、友達を置いていってしまったことだ。
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