スバルの誕生日(11月17日)

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  ― ―――― ―――――――――  数時間前のことを思い出しながら、ユウトは笑いあっている二人を見つめた。  そんな経緯で作られたクッキーをスバルは甘いと言って嬉しそうに食べていた。ユキを傷つけまいと言っているのか、奇跡が起きて甘いクッキーができたのか。傍から見たユウトにはわからなかった。  けれど、きっとこれでいいのだ。  嬉しそうに笑いあっている。この光景を、ずっと見ていたいとも思う。永遠に続けば、幸せなのに。  そう思ってみていると、ユキが改めてスバルを見上げた。 「あの、スバル殿下」 「なんだ?」  クッキーをもう一枚食べようとしていたスバルの手が止まり、ユキを見返す。目があったユキは頬を染めながら、恥ずかしそうに、嬉しそうに微笑んだ。 「お誕生日、おめでとうございます」  今日数々と言われたであろう祝いの言葉。  スバルは一瞬驚いたように目を開いた。そして言葉を理解したのか、口元には笑みを浮かべ、けれど何かに耐えるように眉を寄せ、目を伏せた。 「……ああ」  その声色は甘く、優しく、スバルの部屋に響く。  その光景をユウトも優しく見守った。ユウトがいなかったら、きっとスバルはユキを抱きしめてたんじゃないだろうか。  甘い雰囲気に耐え切れず、ユウトは邪魔するようにユキが持っていた残りのクッキーを一枚口に放り込んだ。 「あ、甘い」  何度も食べたユキのクッキー。それには味がしないはずだ。  けれど、今食べたこのクッキーには甘い味がした、気がした。
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