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見習いだった頃、同じ宿舎で寝泊まりしていた。その頃、カルマンは思い知った。自分が友に抱いている感情が友情ではない、と。
鍛練に疲れ果てて眠るウルジュの横顔を見つめながら、カルマンは次第に心を募らせていった。
──ウージュが好きだ。彼を誰にも渡したくない。手放したくない。
ウルジュは初めてで唯一の親友で、かけがえのない人だった。
でも。それでは満足できない。まだ、足りない。心に偽りの名前を付ける事なんて、出来ない。
カルマンは、そんな風に思ってしまった。
ウルジュは純粋に友情を示してくれる。真っ直ぐに自分を見てくれる。
その眼差しがうれしくて、でも、苦しくて。逃れたくて。
見習い期間が終わって別々の宿舎をあてがわれた時、まずはほっとしたものだ。
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