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騎士となって、背丈も体格もウルジュに抜かれた。
たゆまぬ鍛練をこなし続けたウルジュと、それを厭うたカルマンの差は次第に開いていった。それでも、二人の友情は変わらなかった。
騎士団は武に長けたものに優しい。だが、カルマンは剣を振るう事よりも財務や兵站と言った知の領域と言える事柄に長けて行った。
二人が騎士となって、二十年。ウルジュは三十代の若さで騎士団の副団長に抜擢された。
それは異例の人事で。人々の賞賛を受けたウルジュは申し訳無さそうな顔をして、カルマンを見ていた。
その眸が、こちらを憐れんでいるようで。
カルマンは怒りに我を忘れた。
ウルジュがカルマンのお母様の取りなしで妻を娶った時より、その妻との間に子をなした時より、もっとずっと深く絶望した。
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