二人の騎士

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「うっ……っ……カル……っ俺の……望み、じゃ、ない……っ」 「……ふん。そんなこと、もうどうでもいいさ。もっと。もっと。私の名を呼んでくれ。ウージュ」  カルマンは、まばらに髭の伸びだしたウルジュの頬を濡らす涙を拭い取った。  剛直な鋼のようだと評されていた副団長は、すっかり(ほう)けて乱れきっている。それが、ひどく心地よかった。
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