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「おはようございますメリル様」
「ユーリ、おはようなの!」
部屋を出てすぐに声をかけてくれたのは、いつも私のお世話をしてくれる可愛いメイドさんだったの。
本当はね、着替えも手伝ってくれていたんだけど、私ももういつまでも子どもじゃないからこうしてお部屋の外で待ってくれているの。
メリルお嬢様を最高に可愛く仕上げるのが私の仕事です!って納得してくれるまで結構大変だったけれど。
「ふふ。寝癖がきちんと直せていませんよ」
「ふぇ!?」
「意地を張らずに私を呼んでくださいませ。メリル様の身の回りも全て私の仕事、やり甲斐ですから」
「うぅ。ちゃんと一人で出来るもん」
いつも褒めてくれるし大事にしてもらえて嬉しいけれど、さすがに着替えとお風呂は恥ずかしすぎるの。
ぜーんぶ、してもらうんだよ?お目々閉じてくださいねとか。はい、ばんざーい。とか。
私、幼児じゃないもん!
「分かりました。でもたまにでいいですからメイドらしくお世話をさせてくださいね?」
「あぅ。わ、わかったの」
可愛いメイドさんにそんな寂しそうな顔されたら自然と頷いちゃうの。
ユーリ、ひきょーなのですよ。
「んと。ところで今日はパパは?」
「旦那様は視察に出かけられました。奥様は本日はリッツタルト家のところですよ」
「ふぇ。もう行っちゃったの?」
「はい。3日ほど前からそうお話されておられましたよ、メリル様」
はぅ。ちゃんと聞いてなくてごめんなさい。
しゅんとなってしまう私をやれやれと肩をすくめながらもユーリがなでてくれる。
んゅ。ユーリにはもう頭が上がらないの。
「とりあえず朝ご飯にしましょうね。本日のデザートは苺のショートケーキですよ」
「やたっ。えへへ」
甘いもの大好き。イヤなことなんて甘いものを食べて忘れちゃえばいいの。
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