12人が本棚に入れています
本棚に追加
パパとママはいない。ケイお兄ちゃんも今出かけちゃった。
今日は私一人。ユーリやクラウスさんたちはいてくれるけどね。
それなら。
「クラウスさん。わたし、ギルドに行ってくる」
「畏まりました」
「ほぇ?」
あれ?反対されたりしないのです?
「お嬢様のお気持ちが最優先ですからね。ただしユーリと必ず一緒に行動していただきます」
「んっ、だいじょぶ。よろしくね、ユーリ」
「はいっ」
大好きなユーリと一緒なのはむしろ嬉しいことなのですよ。
「さて。お嬢様、そろそろ片付けてしまってもよろしいですか?」
「みゅ!?待って、まだケーキ食べ終わってないの!」
お残しなんて恥ずかしいでしょう?
え?甘いものに食い意地を張ってるほうがはしたないって?
そんなことないもん。甘いものはみんなを幸せにしてくれるんだもん。
「ユーリ、もういーい?」
「まだですよ。ダメです、今日は日差しが強いんですから念入りに準備しておかないと」
「ふぁーい」
少しお肌が焼けちゃってもそれはきっと健康的に見えると思うの。
でも、ちゃんとユーリの言う通りにするの。ママもユーリも褒めてくれる白い肌、大事にするの。
「これ、すごくおっきいの」
「これくらい普通です」
そーなの。観光じゃぁないんだからこんな大きな麦わら帽子、邪魔になっちゃうと思うんだけどなぁ。
「髪はどうします?いくつにしますか?」
「ん、ひとつにするの」
ポニー、ツイン。サイドにしてみるのもいいの。
帽子も髪型も服装も。女の子はたくさん可愛いが出来ちゃうの。
「はい、どうですか?」
「とってもかわいいの!」
「ええ。とても可愛いです」
私は可愛い、ちゃんと可愛くなれる。自信を持って笑顔でね。
「靴はあれを履いてみますか?」
「うんっ」
ヒールじゃないよ、たくさん動くんだもの。
小さな私だけどヒールを履けばちょっぴり大きくなれちゃったり。でも、今はまだいいの。
羽根がついた可愛らしいデザイン。ちょっと子どもっぽすぎ?
でもね、この羽根はただの飾りじゃないの。本当に足が軽くなっちゃう魔法が掛けられた特別な物。
「よくお似合いですよ」
「えへへ。これで準備はばっちりかな?」
「はい、大丈夫です」
結構時間がかかっちゃったけど、女の子の支度は時間がかかるものなの。許してね?
「よーしユーリ、行こう。みんなー、行ってきます!」
「「行ってらっしゃいませ、メリルお嬢様」」
クラウスさん、大好きなみんな、頑張ってくるね。
最初のコメントを投稿しよう!