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「ケイも頑張っているみたいだね。まあ、まだまだ父上は譲る気なんてなさそうだけど」
「ん。レオお兄ちゃん、お家には寄ってかない?」
「うん。ごめんだけど」
「ううん。レオお兄ちゃんが元気に頑張ってるってちゃんと伝えておくの」
「はは。よろしく頼むよ」
別にレオお兄ちゃんはお家が嫌いってわけじゃぁないの、知っているの。
レオお兄ちゃんは自分のやりたい事を優先したから家を出ることになっちゃっただけ。
ケイお兄ちゃんのことを大好きなのも知っているし、パパとママを尊敬しているのだって分かっているから。
だから、たまにはみんなでお家でのんびり過ごせたらいいなって思うだけなの。
「まあ気が向いたらね。僕のためにわざわざ皆の仕事を止めるわけにもいかないだろう?」
「んーん。みんな頑張り過ぎなの」
「ふふっ。そう言うメリルもすごく忙しそうに見えるけど?」
「ふぇ!?」
そそそんなことないの。
登録して1年以内にシルバーになるって。目標を決めて頑張ってたことなんてレオお兄ちゃんに話してなんかいないの。
「僕を誰だと思っているんだい?」
「はぅぅ」
この国で一番強い人のうちの一人です。本気になったら隠し事なんて絶対に出来ないのです。
「なんて、全部ユーリが教えてくれたんだけどね」
「ふぇ?」
「そうですね」
お兄ちゃんにっこり。ユーリもにっこり。
はぅぅ。二人してひどいの。私のことをなんだと思っているの。
「それは当然世界一可愛い最愛の妹だよ」
「それはもちろん世界で一番可愛い自慢のお嬢様です」
うぅ?
褒めてくれているよね?え、えへへ。
「メリルのことは逐一報告するようにお願いしているから」
「何を食べられたのか、どんな服装だったか、何時にお昼寝をしてどれだけ眠られていたかとか、14時22分くしゃみをした、とか」
「ふ、ふえぇ!?」
「冗談ですよ。そんな細かいことはいちいち報告したりなんてしません。私だけの記録をつけているだけです」
「……ほぇ?」
ほ、本当にそんなこと、全部残しちゃっているの?
「なにそれすごく興味があるんだけど」
「うふふ」
うふふじゃないの。
ねぇホント?本当にそれ全部、記録つけちゃっているの?
ねぇ、ユーリ。
「ふふ──え、あの、お嬢様?」
「ユーリ。わたしの、わたしの大好きなメイドさん、だったの」
「お嬢様?あの、冗談ですよ?お仕えする大切なお嬢様を観察するみたいなことするわけないじゃないですか。ね?」
「……」
「も、申し訳ございません!これだけです。記録をつけていたのはこれだけですから、どうぞお納めください」
「ん」
1冊のノート。1冊だけね。いっぱいいっぱい溜め込んでいたわけじゃぁないんだね、本当にね?
こんなもの。こんなもの今すぐ燃やして消し炭にしてやるのです。
「あっ」
「めっ。こーゆーことはぜったいぜったいダメなの。可愛いしてくれるのはうれしいけど、わたしはペットじゃないの!」
「ご、ごめんなさい」
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