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 * * * * * * * 「ほら、起きられるか?」  カウンターにあずけたままの頭に優しく左手を置くその人。  不毛な恋に落ちた相手の名前は、(たちばな)アラタ。  俺の好きになった人は左利き。  そして、――俺の姉貴の恋人。  だけど誰かを好きになる時って止まんないよな。  弟という立場を利用してアラタさんの連絡先を教えてもらって、履修の相談とか就活のアドバイスとか、なんだかんだ理由をつけては誘い出した。  もともと面倒見のいい人なのか、嫌な顔せず時間を作ってくれて、いつも飯をおごってくれた。  どっちかというと嫌な顔をしていたのは姉貴の方だ。  ……気持ち伝えることなんて絶対できない。  でも、好きな人ができると雄の本能は活発になるらしくて、あの日もただのセフレ相手にそういうことして、そういうホテルから出て来たところを偶然見られた。  俺の本能に火をつけた張本人に。  家族にも隠していた、いわゆる「性的嗜好」がバレて、ああ終わったと思ったのに、その後もなんにも言ってこなくて全然変わらず接してくるその人にモヤっとして、ある日酔った勢いで連絡したんだ。  『迎えに来て、アラタさん』
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