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 指定した場所は明らかにその手の人間が集まる場所にある店で、俺はあの人がどんな反応を示すか見たかった。 (シカトされるかもな)  そう思ったけどアラタさんは俺を迎えに来てくれた。  別に何も言わず、足元のおぼつかない俺の身体を支え車で送ってくれた。  そう。飲み過ぎた弟を介抱する兄のように。  いずれこの人は、本当にお義兄いさんになんのかな――。  なんか悔しくて、何度もこうやって連絡した。 「アラタさん優しいよねぇ。絶対来てくれんだもん」  椅子から立ちあがった拍子によろめいた俺の腕を掴んだその人は、すこし眉間にしわをよせ溜め息をついた。 「週末のこの時間は、おちおち寝ていられない」  なにそれ。やめてよそんなこと言うの。  次の日休みなら迎えに来てくれる率上がるかなとか思って、金曜日とか土曜日にわがままを言う。  だけど本当はそれ以上に、週末の方が姉貴と会ってる可能性が高いから邪魔してやりたいし、それでも来てくれるか試したいっていうのが本音のタチの悪さ。  そんなバカな俺にそんなこと言うのやめといたほうがいいよ。  止まんなくなるくらい、あんたにはまっちゃうから。  
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