<永遠>

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<永遠>

「やっぱり奈緒は永遠を知っているのか」 「永遠はどうなったの?幸せになった?ねぇ、教えて!知ってるんでしょ」 海はあの後の永遠を知っている。海と弥生が幸せになった話は聞きたくないけど、永遠はどうなったのか知りたい。 「ごめん」 「何なの!早く教えて!」 つい、声が荒くなる。 「私があんたたちに薬を盛られて死んだ後、どうなったか言えって言ってるの!」 「奈緒・・・落ち着いてくれ。俺が知っている所まで話すから」 “落ち着け“ですって!私の心を乱しているのはあんたたちなのに。 「あの日、俺が不甲斐ないばかりに奈緒が交通事故でこの世を去った。自分の保身と自分の幸せのために奈緒を死に追いやってしまった。俺に残されたのは永遠をあの女に渡すわけにはいかないという使命感だった」 海は一度ここで話を止めるとキッチンからミネラルウォーターを二本手に持って戻ってきた。 一本を私に渡すと、もう一本を半分ほど一気に飲んだ。 「あの人との出会いから今までのこと、奈緒にしてきたこと、親父の事故の真相を手記にまとめてから、親父の相続を急ぎ、俺のものと合わせて永遠に相続させるべく手続きをする過程で親父が遺言状を残していたことがわかった。 親父は元々、遺言状を年に一度書き直していたらしく、1番新しいものに書かれていたのが全てを永遠と奈緒に相続させると言うものだった。さらに手紙が添えられていて、俺に守るべきは奈緒と永遠と書いてあったんだ」 前回、それほどお義父様と親しくしていなかったのに 「それって」 「もしかすると、親父は俺とあの人の仲を知っていたのかもしれない」 「最低ね」 自虐的な笑みを浮かべると海は残りの水を飲み干した。 「永遠を奈緒の両親に預け、後見人に神山を立てたんだ」 「どうして?わざわざ神山さんを?」 「俺はずっと逃げてきた。そのせいで親父も奈緒も失くしてしまった。でも、もう俺には一人で何かと戦う気力がなくなっていたんだ」 「神山に手記を記録したUSBを渡して○○ダムへ行くと伝えたら、何も言わずに見送ってくれたよ」 「どう言うこと」 「だから俺は永遠がどうなったのか知らないんだ」 涙がとめどなく流れる。 海が私の涙を拭こうとした手を払いのけると、「そうだよな」とつぶやいた。 「どうせやり直せるなら高校生のあの時に戻りたかった、せめて奈緒とのお見合いの日に戻れていたら」 「でも、あなたは永遠を捨てたのね」 「ねぇ、海は私のことを少しでも愛してくれていた?」
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