<煽る>

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朝、海のスーツを準備する為にクローゼットを開ける。 弥生からプレゼントはもらっていないんだろうか?自己顕示欲の強い人だから身につける物を渡していそうだけど、香水とかパンツとかだったらマジで気持ち悪い。 そんなことを考えながらクローゼットの中を見ていると、小物を入れる収納ボックスの横に無造作に置いてある長方形の薄い箱が見えた。 箱を開けると、そこには青いバラ柄のネクタイでハイブランドだと思うが、海は新宮電機の専務という立場でホストではない。 取引先とかそういう人から貰ったとするなら、もう少し無難な柄を選択するだろうし、これはたぶん弥生からのプレゼントだ。 弥生だとしたら彼女のセンスに呆れてしまう。 海もこんなところに放置するなら会社のデスクの中にでも入れておけばいいのに。でも、せっかくだから夜の帝王風にコーディネイトしておこうかしら。 ネイビーのスリーピースと薄いブルーのワイシャツとともに青いバラのネクタイを合わせておいた。 何気なく海用のサイドテーブルの上を見るとトレーに財布とともにあのボールペンも置かれていた。
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