奏でる

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今日から楽しい学園生活の始まり。なんて、そんなものなかった。 目の前には裸で首輪をつけた男の子。可哀想なくらい怯えている。それを楽しそうに笑いながら見ている男が8人。 びっくりして手に持っていたカバンを落としてしまった。ドンッと音が鳴り、そこにいる人がこちらに目を向けた。 「たっ、たすけて。」 裸の男の子は僕に向かって手を伸ばした。細く今にも折れそうな手を。 でもその手は僕に届くことなく、抑えられてしまった。 その子は泣きながら、「許してください。怒られちゃう。」そう言った。 あまりにも可哀想で僕が助けてあげないと!そんな気持ちになった。 それが間違いだったなんて。 「やっ!やめなよ!その子嫌がってる!」 思いのほか大きな声が出た。 「なら、お前が代わりになる?」 一番奥でソファーに座っている男がこっちを睨みつけてきた。 「あ、今日から寮に入る佐々木 柚くんですよ。」 「あいつがそうなのか。可愛い顔してるじゃん、使えそう。」 「ほどほどにして下さいね。彼は特待生なんですから。」 「あーそれで防音の部屋」 「で、ゆず。お前が遊び相手になってくれんの?」 「そっ…それは」 「ゆずのこと気に入った。今からペットな」 「え?ペット…」 「しゅう、しょう。ゆずの服脱がせろ」 「「は〜い!」」 しゅうとしょうと呼ばれた可愛らしい人がこちらにくる。なんだかヤバイ気がする。逃げたいのに足が動かない。 「「捕まえた〜」」 とても楽しそうに満面の笑みを浮かべて両脇に立ち僕の腕を掴んだ。 「離して!」 「ダメ〜!だって黒都様の命令だもん」 「そうそう」
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