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見知った城
屋敷に戻った碧達は、廊下がいつまでも続いているのを確認した。
「ねえ、ママ。うちってこんなに広かったっけ?」
「さあ?どうかしら?」
「真琴さんは知っているはず。この家の状況を」
「それは?」
「いたあああああああ!ママ!この仮定的存在の城ってどうなってるのよさああああああ?!じーじ急ぐのよさ!へたってないで歩け!」
あん?そりゃあ?碧が呟いた時、真琴は、あ、と言った。
「これは、確かに覚えています。降魔さん、いえ、勘解由小路の血の系譜にあった力。初めて星無さんに助けられたあの事件で、私達はその城に迷い込んだんです」
「ええ、これは降魔君じゃない。もう一人の勘解由小路の力ね。最早隠す気はないわ。彼女は、自分の欲求を満たそうとしている」
「とりあえず、流紫降を探そう。きっとその辺を婆ちゃん連れてうろうろしてる」
碧ちゃあああああん!流紫降の声がした。
「あん?噂をすれば影か流紫降。ばあちゃんか。ママに似てるな。緑くんはどうした?」
「大変だよ碧ちゃん!迷っちゃったよ僕達の家なのに。苔テラリウムにお水あげなきゃ。それから緑くんはね、白鳥さんの背に乗って飛んでいっちゃった。家を出れたのかな?」
あああ。碧は呻いた。
「凄い可愛い天使みたいな赤ちゃんなのにな。自我が芽生えれば紀子の奴かホントに」
出来れば私のおっぱい求めろとは思う。影山も嫌がるし。
「まあ何にせよ、うちの兄弟にママ、それにママサイドの親で、大体勢揃いだ。あとは勘解由小路サイドの親とパパだ。家族みんなで探そうパパを。そう言えば、パパの僕はどうした?三田村さんは」
「そう言えば、護田さんもいないのよさ。うっかり置いてって恥かくところだったのよさ」
「多分、降魔君の手下の悪魔は全員捕まってる。彼女は、そのくらいのことするわね」
「彼女?パパのママか?そう言えば、婆ちゃんは何者なんだ?」
碧の質問に、全員の視線が星無に集中した。
「ずっと思ってた。降魔君が死の運命を容易く乗り越え、ハデスになり、世界を闇の悪夢から救ってから。あれほどの知性と力を持っているなら、彼の縁故も普通ではないと。会ってすぐ解った。彼女は、世界に7人しかいない大魔女の1人、全ての魔法使いと魔女の頂点に立つ存在。ブロッケン工房のワルプルギス。魔法使いの学校を営むアリストテレスのグランマザーですら干渉出来ない最強の魔女よ。まさか、日本に渡り住んで降魔君を生んでるとは思わなかった」
「やっぱり、非常識なんだな。パパは」
碧は納得して言った。
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