じじい乱舞

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じじい乱舞

今日も普通に帰ってきちゃった莉里は、玄関口で待ち構えていた祖父母に捕まっていた。 「ようやく会えたよおおおおお!ぷいきゃーじーじ変身!うばあああああ!」 「ぎゃあああああああああ!何なのよさこいつはああああああ?!」 「莉里タソのじーじです!諫早公彦です!ああああ!会いたかったよ!莉里!莉里タソ!」 「突然現れて何なのよさああああああ?!うひいいいいいいいい!頬ずりすんなのよさ!滅魂の鬼火を食らええええええええええ!」 莉里は館の奥に引きずり込まれていった。 「碧ちゃんが家に帰りたがらないって一体。ただいまー。母さん何かあっ」 「あら?お帰りなさい流紫降君♡」 うん。あった。 諦めムードの緑を抱いた祖母が出迎えた。 それで逃げたんだね碧ちゃん。 双子の姉の鋭い危機管理能力が働き、碧は恐ろしい来訪者の襲撃(レイド)をかわしていた。 その時、勘解由小路は携帯をしまってそいつを見た。 「なあ。そう言えばお前、名前は?」 「助川(すけがわ)と申します。猊下。教授の助手兼雑用です」 あー。大体理解した。 「やっぱりな。あの親父は未だに無鬼論者だ。とっくに世界が怪奇を認め、警察庁祓魔課が出来たってのにな。苦労するなお前も。そうだな?ウコバク」 ウコバク。ベールゼブブの麾下にいると言う下級悪魔だった。 名指しされて当然とばかりに助川さんは嘆息して言った。 「正直、無茶苦茶ですよあの人は。全くそっちの世界を認めないのに、しょっちゅうそういう事件に巻き込まれて。ここに来る途中、ブードゥー系のマクンバ殺人に関わっちゃうし。でもまあ、教授はああいう人ですから。そんなジジイより、魔上皇后様は?」 「ああ。あれは今も空間の向こうでトキとやり合っている。あれはそういう親父だ。言うこと聞かなきゃボコーるをくれてやれ。ああ理解した。エルプスタインの息子の事件か。ダンバラだな。まあその内あっちの連中とは関わるかも知れんな」 恐ろしい洞察力があった。 これが、ソロモンの指輪か。 「まああんなジジイは放っとけ。それよりな」 「降魔!降魔ああああ!パパが呼んでるぞ!すぐに来ないとボコーる!」 「ああ面倒な年寄りだなホントに。話の続きは後でな」 テテテと駆けていった。 1人残された助川さんは、 「だから、オウンガンと何偏言えば。あの馬鹿親子は」 ボソッと呟いて、奥に引っ込んでいった。
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