ずっと君だけを追いかけていた

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なぎさが受験のときは俺は反抗期に入り始めていてツンツンした態度も時にはあったのに、なぎさはそんな俺を笑い飛ばした。 「潤くん絶賛反抗期じゃん!ウケる!」 「うるせー」 姉のようではあったけど、決して年の差を感じたことはなかった。あくまでも友達感覚。だけどまわりの同級生の友達とは何かが違う。 年が離れてるから? 女子だから? よくわからなかったけど、特別な友達なのかもしれないとぼんやり思った。 だけどその想いが違うことに気づいたのは、俺が中学に上がりなぎさが高校生活を満喫しているときに判明した。 なぎさに彼氏ができたのだ。 彼氏と歩いているところを偶然出くわした。 「あっ潤くん久しぶり」 「……あ、うん」 「えへへー。彼氏できたんだ。いいでしょ」 嬉しそうに笑いながら彼氏を俺に紹介するなぎさ。彼氏は制服を着ていたからなぎさと同い年っぽかったけど、断然大人びて見えた。 むしろ自分がまだ子供だということを痛感させられる。なぎさの隣には俺じゃなくて、もっと大人が似合うんだと。 俺の中でふつふつと黒い感情が沸き上がるのがわかった。このままここにいたら叫びたくなる。だから俺はその場から逃げ出した。 「潤くんバイバーイ!」 なぎさの声が耳を抜けていったけれど、俺は無視した。
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