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俺の子供の頃の“友達”は実は“初恋の相手”で、ずっと追い続けていたのだ。これはきっと神様がくれた最初で最後のチャンスに違いない。
すっぱりと恋心を断ち切ろう。
楽しい思い出だけを作ろう。
そして俺は前に進むんだ。
三条大橋に駆けつけると、なぎさはすぐに俺を見つけて手を振った。
「潤くん、久しぶり」
相変わらず明るい笑顔を振りまいて、俺の心を溶かす。そんな楽しそうな顔をされたら断ち切れるものも断ち切れなくなってしまうだろう。
「なぎは変わらないね」
できるだけ平常心を装う俺の心なんか知らないくせに。
「いつの間にか背も伸びて何だかかっこよくなったねぇ」
ほらそうやって俺を喜ばそうとする。
なぎさの方が何倍も何十倍も可愛いんだよ。
“友達”から“彼氏”に昇格したいという欲望がむくむくと沸き上がってしまうからやめてくれ。
「……なぎは、綺麗になった」
「ふふ。ありがと」
勇気を持って伝えた俺の言葉に、なぎさは淑やかに微笑んだ。
ほら。
やっぱり君は俺を虜にする。
子供の頃から俺は、ずっと君だけを追いかけているんだ……。
【END】
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