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ずっと君だけを追いかけていた
小学校に入学したとき、同じ通学班に一年生は俺だけだった。班長は六年生の大野なぎさ。妙に姉御肌のなぎさは、俺の面倒をよく見てくれる頼れるお姉さんだった。
「なぎちゃん、なぎちゃん」
「どうしたの、潤くん?」
「大好き!」
「潤くんったら、めっちゃ可愛いんだけど!」
そんな純粋なやりとりは一年も経たないうちになくなって、俺の方に照れという感情が芽生え始めてしまった。だからそれ以来なぎさに“大好き”とは言っていない。
だけどなぎさは変わらず俺のことを気にかけてくれていたし、遊ぼうと言えば遊んでくれるような優しいやつだ。俺はなぎさのことを“大好きな友達”だと思っていた。
なぎさが中学に上がっても家が近所だからかバッタリ会うこともよくあったし、会えばしゃべるといった仲の良い友達だった。
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