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瓦礫の山からようやくの思いで降りると、ミケを抱えたまま、もう見えている自宅へと連れて行く。 ミケは場所の確認をする様にして、至るところの匂いを嗅ぎ回っている。 何かを思い付いたように、突然、にゃーと掠れた声で鳴くとすぐ、私の方にトコトコと歩いてきた。 少し背中を延ばすようにしたり、毛繕いをしたりしながら。 ミケは私の膝の上に飛び乗った。 その瞬間、私は頭の中に火花の様な衝撃を感じた。目映いくらいの光に包まれたかと思った。とても温かい感情が、心の奥底から沸き上がってくるのを感じた。 ーーさっき、抱き抱えた時はこんなのなかったのに。なんで?? ーーなんで? ーーなんで?? ーーなんで??? 不思議だった。次々に浮かび上がる疑問符を払拭するかのように、頭をブルブルと振ってみる。 一体、何が起こったのか。 私は恐る恐るミケの手に再び触れた。
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