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咲那さんは湊のアルバイト先のガソリンスタンドで働く女の人だ。
五つ上の二十歳で、湊が密かに恋焦がれている。湊は唯一の女友達だという私にいかに咲那さんが素敵かということをいつも話してくる。
高校在学中からアルバイトとして働いて昨年社員になった人で、てきぱきとしてアルバイト皆に優しくて、明るくて、美人なんだ、と会えば聞かされる私の身にもなってみろ。と思いつつ、それはいいね、と返す。
私の夢であるネイリストの実践練習にと、湊にはたびたびネイルモデルになってもらっていた。まさかネイルを落とさずにそのまま学校に来るとは。いくら校則の緩々なうちの高校に通っているとしてもけっこう勇気が必要だったんじゃないかと思う。まぁ、それくらい好きな人に見せたいって気持ちがあるんだろうな。
「咲那さんってどんな人?」
前にそう言ったら、スマホの中に保存していた仕事終わりに職場でささやかにやったという飲み会の集合写真を見せてくれた。お手入れしてそうなやや明るいブラウンヘアを真ん中分けにして片方を耳にかけた健康的な肌色をした大人っぽい人だった。夏の海でサーフィンでもやってそう、な。
好きなの?と聞いたらすぐにうん、と返された。
あの時も口元がだらしなく緩んでいたっけ。
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