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軽くない。
「で、今日はどんなネイルを?」
その日、私の部屋に私の特別好きな輸入菓子のポテチやらチョコやグミなどを大量に用意してやって来た湊はさっきから顔が緩みっぱなしだ。
昨日は金曜日で咲那さんとシフトが一緒だったはずだ。わざわざ聞くのは野暮か、と思ったけど、自分と全く関係ないとは言い切れないからそれとなく誘導してみる。
「デートにピッタリのネイル、とかって言い出しそうな顔」
「さすが、美優、何でわかった?」
なんて、間髪おかずに言われてあまりの事に動揺している気持ちは隠しつつ、告白したんだ、とネイルカラーを選ぶふりをしながらやっとの思いで返した。
「逆。されたんだ、咲那さんから」
「へぇ」
興味ないふりをして、ネイルカラーを選ぶのが難しい。指先は落ち着く先を見つけられないでさ迷う。
「ずっとお金を貯めていて最近新車を買ったんだって。で、海にドライブしたいって思ったら真っ先に俺の顔が浮かんだから、彼氏になってくれない?って言われた」
「軽っ」
棘のある言葉を投げたはずが、湊は嬉しそうに頬を緩めた。
「だよな、軽っ」
絶対そう思ってないでしょ。
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