始り 

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始り 

同級生さおりと人生初の海外女子2人旅 奮発して自分にご褒美贅沢企画 企画や手続きはさおりの得意分野なので、全て手配して頂き本当にありがたい 予約しやすく値段の安い10月に南国でバカンスといきましょう! マレーシアの首都クアラルンプールまで、 東京成田から直行便で7時間15分 マレーシア着後、国内線に乗り換えて再度フライト 約1時間後に南国リゾートランカウイ島に到着した 到着ゲートを出ると専用リムジンが迎えに来ており、滞在先まで直行、1時間未満 長旅を経てようやく到着した先は 世界で有数のラグジュアリーリゾート、アンダマンランカウイだ 長時間移動の疲れもホテルに着いた瞬間、忘れてしまう程の圧倒的建築の美しさ しかし不思議な事に、華やかで広大なフロントには到着客の私達だけ あまりの人気の無さに驚くばかりだ チェックイン時に、コンシェルジュが 「10日前に島にハリケーンが直撃し、当ホテルは半壊するほどの被害を受けました。ハリケーン直前に全てのお客様に避難して頂きましたが、本日ようやく再開の目処が着いたところです。当ホテルの全てのサービスが受けられるまでは回復しておりませんが、この様な時期にご足労頂きましたお2人には、当ホテルのスイートルームに滞在して頂きたく存じます」 ホテル側はさおりにメールを送ったとの事だが、さおりは知らない様子でただ驚いている ホテル営業が再開していなければどうなっていたのか、、、と言う事を考えるよりも、 とにかく長時間の移動で疲労困憊だし、泊まれるなら問題なし!と、よく分からない状況と共にグレードアップして頂いた事に感謝し嬉々として部屋に向かう ポーターに従い部屋に向かう 疲れてるのに、長距離廊下を歩かされる 「先日の台風の影響で館内小型移動車が全てメンテナンス中ですので、徒歩でのご案内になります」 バギーで移動が必要な距離なの?! 疲れて声にならなかった ようやくガラス張りのドアに着くが、その先には永遠と廊下が見えるだけ 「こちらはお部屋前のセキュリティーゲートです」 カードキーでガラスの扉が開く 何百メートル? いや、キロメートルじゃないのか、、、? と単位が切り替わる様に思い始めたところ、 ようやく寺院か城と見間違う程の、精巧な彫り物が細工された巨大な木製観音扉に辿り着いた 「部屋の扉」と言うより「別の建物の門」と言った方が良いくらいだ ポーターが扉を開けようとするが、数ミリ動いただけでそれ以上動かない 重いの、、、? 手伝おうかと思った矢先 「やはり動きません」 先日のハリケーンで扉が壊れたのだと言う え?動かないの知ってたの?! 驚愕する私たちのツッコミを無視して、案内されたのは先程とは雲泥の差がある「普通の扉」だった こちらの入口は、この部屋のお手伝い専用出入り口なのだという 入口は、すぐキッチンに繋がっていた 入って使用人エリア廊下を抜けるとバカラ製の大きなシャンデリアが煌めくホールに出た そこは先程開かなかった扉が出迎えるはずの場所で、感想は、、、「広すぎ」 とにかく語彙力が無くなるくらい 美女と野獣が踊れるくらい広い!! ホールに荷物を置いて先程開かなかった扉の内側に案内されると 「ではお部屋の説明を致します」 と仰々しくポーターが言った あの門が開いてたら、それはそれは感動したかもしれない、ビーナス像佇む噴水池付きのエントランスから説明が始り、ホール、リビング、ダイニング、書斎、プレイルーム(ビリヤード台とダーツ)、テラス、サブベットルーム2部屋、マスターベットルーム、ジャグジー、、、 使用人入口のキッチンは専属シェフ用、ホールに至るまでにあった廊下サイド3つのシングルベットルームやバスルームは同行した家政婦やシェフ専用部屋 私達はルームマスターなので、使用人の部屋を使わない様説明される 出入りは使用人扉だけどね! 一通り説明も終わったので、ポーターにチップを渡すと一瞬表情が曇る 納得いかない、不満の表情が垣間見える そうか、、、 私達はアップグレードされたとはいえ、この部屋に滞在する人達からのチップは今しがた渡した額とは比較にならないのだろうと推測する ポーターは瞬時に笑顔に戻り、お礼を言ってチップを受け取り最後にリビングに用意してあったウェルカムシャンパンをグラスに注いで部屋を後にした ゴージャスすぎる部屋に気圧される庶民の私達 使用人部屋の方が慣れ親しんだサイズと言う状況に、ただ呆然とするのも束の間、私達の笑い声がホールに響く こんな事あるんだ?! 先ずはシャンパンで乾杯するしかない!!
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