9人が本棚に入れています
本棚に追加
【エピローグ】
窓外に広がる緑から蝉の声がする。
「ねぇ、天の使者さん、お迎えに来るの少し早かったんじゃないの?」空を仰ぎながら心の中でそう呟いた葬儀の日から数年の時が経った。
今年も間も無く弟の命日だ。
弟と今年はどんな話をしようかな?
そうだ、私が天国に行くまで、ほんのチョッピリ待ってもらおう。
弟の分まで…もう少しだけ私は地球で生きてみようと思うから。
私が再び弟に会えるのは、おばあちゃんになってからかもしれない。
もしも天国で会えたなら、もう一度「ねぇねぇ、まるで妹みたいだ。」と笑ってほしい。
そうしたら、私は思い切り弟を抱きしめる。
ーーー そう、幼い頃の2人のように。おチビで泣き虫だった弟を抱きしめて私は彼の頭を撫でるのだ。
〈了〉
最初のコメントを投稿しよう!