三つの試練

ソン

「我々バンパイア帝国の掟に基づき、お前は人間界での試練を三つ乗り切られよ。期間は１００年とする」
「はっ！必ず試練を乗り越えてみせます、ウェルス・ヴァンパイア陛下」
「では、明日の日の出より試練を開始する。まずはロックレイン山を登れ！それが一つ目の試練である。他二つは時期分かるであろう、しっかり励め」
すると周りの王族や貴族、外にいる平民までもが一斉に自分の名前を呼び出した。「ローズウッド様！」と、数十回程呼ばれた辺りで現実に引き戻された。
「んっ、夢‥か？」
目の前には１０代らしき少年と少女がこちらを驚いたように見つめている事と
ここは誰かの家の中である事は先程からガンガン痛む頭でも分かった。とりあえず話かけてみるのが妥当だろうという判断に達した。
「君たちは？ここは何処だ」
痛む体を無理やり起こして少年に聞く。少年は急に起き上がった男を支えながら何か少女に指示した。
「あまり無茶したら体が動かなくなりますよ！」
「そのような事は聞いていない。君たちは誰なのだ？」
その言葉に少年はかなり深い溜息をつきながら、少女が持ってきた液体を無理やり飲ませた。
「っっっっん、ごく。ゲホっ、ゴホゴホ、はあっはあっ」
ローズウッドは急に口をこじ開け不味い液体を飲ませてきた少年を突き飛ばした。本気ではなかったがかなり力を入れたため、少年は壁にめり込んでしまった。やりすぎたと思い、痛む体を無理やり奮い立たせて少年の元えと向かった。が、少年は無傷で壁から脱出してきた。
「えっ！かなり強く突き飛ばしたと思ったんだけど？！。だ、大丈夫なのか？」
驚きに瞬きオロオロしているローズウッドに少年はにっこりと微笑んだ。
「大丈夫ですよ、慣れてますから。僕の名前は、ソン・リーで、あの子は妹のチャオ・リーです。ここは僕達の家なのでゆっくりしてください」
言って、ソンはローズウッドを先程まで座っていたベットにつれていった。
「ソンよ、すまなかった。私はローズウッドという者だが、なぜここにいるのか教えてくれないか？」
「ロックレイン山の中腹辺りで、ローズウッドさんが血まみれで倒れているのを発見したんです。とても自力で帰れるような姿じゃなかったので家へ連れて帰りました」
ちょうど力尽きた時を拾われたって事か。だが、人間の少年があの山に何の用があるんだ？人間達は寄り付かないんじゃなかったのか？。ソンは考えていることが分かったように言った。
「僕らは普通の人間より丈夫なんですよ。今日もロックレイン山にいるレイン兎を狩りに行ってたんですよ」
「そうか‥ああ、ありがとう。助けてくれたにも関わらず、無礼な事をしてしまった。すまなかった」
「いえ、気にしないでください！ビックリしましたよね」
相変わらずニコニコしながら言う。
「君はチャオといったか？先程はすまないな」
チャオはローズウッドが座っているベットの前に立ち、葛湯を差し出した。
ニコッとと微笑んだだけで何も喋らなかった。