赤子

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赤子

二日後、ローズウッド達は街を散策していた。 今日はお目当てのパンが発売されるため、早めに山から降りてきたのだ。 そのパン屋は王室に卸しているため、貴族達の姿が多い。 「ここか。やはり人は多いな」 「もう十時だからね。でもまだマシだよ」 そんな他愛もない話をしていた時、新聞売りの少年達が大声でニュースを叫んでいる。 「ニュースだよ!二丁目のヤクザが本部ごと壊滅したぞ!。ヤクザは皆死んだって」 少年たちの周りには、瞬く間に人だかりが出来て新聞を我先にと買っている。 皆驚きを隠せないようで、「誰がやったんだ?」「新しいヤクザが出来るんじゃないか?」「良かった。もうこようなんて思わないんじゃない」などと 言っている。 だが二人、ジト目で犯人を見ていた。 「ローズウッド、これ君がやったんでしょ!」 とソン。 「何のことだ?さっさとパンを買うぞ」 ローズウッドは素知らぬ顔でパン屋に入っていった。 遡ること十時間前 「じゃあ返してくる」 ローズウッドは紐で固定した男四人を引きずるように出ていく。 まずは分家に行って‥いやどうせなら本家から潰すか? ここらは一気に片付ける方が得策だろう。 「おい、本家と分家どちらが近い?」 「本家は二丁目にありますが分家は街を外れた川沿いに」 この四人組のリーダーと思われる男が答えた。 こいつらも本家の者か‥いや分家だな。 「お前らは分家の者だろう。抜けるなら今がチャンスだぞ」 男たちの縄を解いてやり、一人ずつ6パル(六千円)を渡した。 四人は驚いたとばかりに目を見開いて、お金を受け取る。 「これで一年間生きられる。足を洗ってまっとうに生きろ」 「俺ら‥ボスに拾われた身です。裏切るなんてそんなマネ出来ません」 「じゃあこうしよう。本家の方に分家から養子として入った赤ん坊がいるだろ。そいつを立派に育てろ」 「なんでそんな事知って‥」 ローズウッドは悲しそうな顔をして笑った。できれば子から親を奪う事はしたくないが、掟を破るわけにはいかない。 この事実に気づいたのは丁度情報収集に行っていた時だった。 陛下はひどいことをなさる。私に赤子の親を殺せと‥ まだ首も座らぬ子を殺さずすんだ事に感謝すべきか。 「頼むから、立派に育ててくれ。この街を出るんだ」 なぜか必至にお願いするローズウッドの様子に、男達は覚悟をした。 「分かった」 その言葉を聞いてローズウッドは山を降りた。 その後は千人近くの血が流れ、生き残ったのは四人組と首もすわってないヤクザの跡取りだけだった。
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