赤子

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「美味いな!流石王室御用達だ」 ローズウッド、ソン、チャオは朝方買いに行ったパンを早速家で食べている。 夏限定で取れる果物を、ふわふわのパンに包み揚げている。 種類は五つ程あり、[ロゾン][ラズベリー][カシス][プラム][ロゾンとカシスミックス]がある。 大人には甘さ控えめなカシスとプラム、子供には甘いロゾンとラズベリーが人気だ。ローズウッドはロゾンとカシスのミックス、ソンはラズベリー、チャオはプラムだ。 チャオは甘いものより酸味があってさっぱり系が好きらしく、逆にソンは甘いものが好きだそうだ。 「そういえば、ロックレイン山に何で倒れてたんですか?」 丁度いい頃合いだろうとソンが話を切り出す。 チャオも気になっていたのか、珍しく身を乗り出している。 「‥‥そうだな‥いい加減話さないとな」 できれば触れてほしくなかったが、ずっと隠しておくわけにはいかない。 それに話せば気持ちが少しだが楽になるような気がした。 ______ _______ 「ヴァンパイアだったんですか。それで成人したから三つの試練を‥‥あの、 ポポって獣は何処にいるんですか?」 「ロックレイン山の頂上だ。‥俺がヴァンパイアだって分かって怖くないのか」 ソンもチャオも、自分がバンパアだと言っっても千人もの人間を虐殺したといっても全く怯えを見せないまでか、残りのパンに齧りついている。 「怖くないですよ。だって、しんどかったでしょ?苦しかったでしょ?」 ソンはニコッと笑っている。同仕様もなく泣きたくなった。ソンという奇妙な少年はなぜこんなにも強いのだろう?なぜ惹きつけられるのか‥。
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