唐突なしらせ

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唐突なしらせ

 ところが、私の姿を見て、黒猫は、すぐさま尻尾を向けて走り去った。私は、呆然と、その後ろ姿を見送った。  どうしたの? なにか、急用でもあったのかな? いつの間にか、涙は止まっていた。  どうしよう……まさか嫌われてないよね? きっと明日には、また話を聞いてくれるよね? モヤモヤした気持ちで家へ帰ると、お母さんが、玄関で出迎えてくれた。  珍しいな……いつもは仕事で夜まで帰らないのに。そんな、疑問が頭を巡ったけど、お母さんが口にした言葉で、それはすぐさま蒸発して消え去った。  ――明日、おばあさんの家へ引っ越す――  私には黙っていたみたいだけど、お母さんは体調を悪くしていたようだ。それで、おばあちゃんの家に住ませてもらいながら、もっと楽な仕事を探すという。  確かに、お母さんの働きぶりは異常だったと思う。私が学校に行くより早く家を出て、寝る時間に帰ってくる。土曜日は、別のパートをしていると聞いていた。とても真似できない。
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