孤独

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孤独

 夏休みが終わっても、私の性格は変わらなかった。 「前川さーん! 一緒に帰ろう!」 「前川ー! ドッチボールやろうぜ? 一人足らないんだ」 「咲良ちゃんの家、私ん家の近くなんだね! 今度、遊ぼうよ」  打算もなにもない、純粋な言葉。でも、私には、みんなが喜ぶような答えを、伝えることはできなかった。 「……」  早まる鼓動が、うじうじとした自分を責めるように走ってくる。懸命に考えて、考えて……結局、言葉にすることができず、首を横に振ることしかできなかった。  それでも、精一杯、苦しんで生み出した答え。  そんなやり取りを繰り返しているうちに、いつの間にか、一人でいることが当たり前になった。学校でも、家でも。  玄関の扉を開けながら、脳裏に浮かべるただいまという言葉。実際に口に出した記憶はない。  玄関に入り靴を脱ぐ私に、おかえりという言葉は待っていない。その事実に、驚くことも悲しむこともない。毎日のことだから。
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