外へ

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外へ

 二学期もあと二週間で終わろうかというある日。学校を終えた私は、自宅にランドセルを置くと、急いで外へ出た。  この日は、おばあちゃんが家へ遊びに来るから。決して、彼女のことが嫌いなわけじゃない。会いたくないだけだ。  日だまりのような笑顔を浮かべ、ステレオのように喋る姿が脳裏に浮かぶ。私が、最も苦手とするタイプ。  お母さんは仕事で夕方まで帰らない。三人ならまだしも、二人っきりで何時間も過ごすなんて、とても耐えられないと思った。  といっても、行き先……というより逃げ場所については、なにも考えていなかった。  公園は論外。図書館も嫌だ。なるべく人に会わない場所がいい……。  結局、家の近所をぶらぶらと歩くことにした。  どうか誰も、私に話しかけないでください。そう心に念じながら、焼きイモ売りの屋台を横切った時、前方から、自転車に乗った男の子が二人、走ってくるのが見えた。  クラスは別だけど、私と同じ学年の子だ。当然、面識はある。  咄嗟に、左手にある駐車場の中へ入った。
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