怪しい雲

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怪しい雲

 翌日、ランドセルを背負ったまま、再び駐車場へ行ってみた。ふてぶてしいあの黒猫のことが、朝からずっと気になっていた。  昨日と同じ場所に駐車されている軽トラックの側面へ、躊躇することなく駆け出した。  地面に手と膝をつき、ボディの下を覗き込んだ。  ……いない。どこに行っちゃったんだろうか。  今までも、野良猫を見かけることはあったけど、同じ場所で何度も遭遇した試しは一度もなかった気がする。  ……もう会えないのかな。立ちあがり、膝についた小石を軽く手で払った。あ、そういえば今日、夕方から雪が降るって、天気予報で言ってたっけ。  早く帰ろう。ランドセルを背負い直し、歩き出そうとしたとき。  目の前に、行儀よく座っている黒猫の姿があった。間違いない。あの子だ。昨日見た、ふてぶてしい黒猫。
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