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ブルーアイ
青色の潤んだ瞳を見つめていたら、不思議と足が黒猫の方へと向かっていた。
頭を撫でてあげたい……そんな衝動が、胸の中に広がった。
あと少しで触れられる、そんな距離に到達した時、私の動きは止まった。
私が手を出したら、逃げちゃうかな? せっかくくつろいでいるのを、邪魔するの悪いな……。
臆病で弱い心が、私の伸ばしかけた手を、石化させてしまった。
そんな私の赤みがかった人差し指に、黒猫は、そっと鼻を近づけてきた。
呆然とする私のことなど構うものかといった調子で、手の甲をぺろりと舐めた。猫の舌って、こんなにザラザラしているんだ……くすぐったい。
この子、どこかで飼われているのかな? 凄く人間に慣れている気がする。でも、首輪をしてないし、ひょっとして捨て猫?
あれこれ思索しているうちに、私の手首に、おでこを擦り付け始めた。痒いのかな?
手持無沙汰になっていた反対の手を取り出し、お風呂で頭を洗うような感覚で、ゆっくりと、おでこを撫でてあげた。
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